1年半振りの送別会

ある2月の週末金曜日、1年半振りに退職者が出て、送別会を催した。

アレンジや花束を作るギフトチームリーダーの山崎さん。彼女は24歳でグリーンロードに入社してから16年もの長きに渡って尽力してくれた。会社としては正直痛い。

「感謝の言葉」などでは全く足りないが、「感謝している」としか表現できない。ここでは退職理由が人間関係とか飽きたとか、他社への転職などではないことを公表するに留める。「休職やアルバイトなどの選択肢もあるよ」と、幾度となく繰り返したものの、40歳を迎えた彼女の意思は硬かった。金曜日は週明け月曜日の準備で何かと忙しい曜日にも関わらず、部署を超えて社員全員が集合して送別会が開催された。乾杯後、ご歓談がしばらく続いたが、営業部遠藤さんの司会進行で各部署からお礼のスピーチが始まった。一番近くで働いていたギフトチームのメンバーから、各部署のリーダーと続いた。少し酔っていたので詳細までは記憶にないが、隅の方ですすり泣く声もちらほら聞こえた。丁度中盤に差し掛かったころ、管理部の春木さんを中心にして作成してくれたムービーが上映された。BGMは小田和正さんの「たしかなこと」。16年前の履歴書に始まり、飲み会や社員総会、結婚式の2次会、繁忙期で血相を変えて作成している姿、16年分の映像が一挙に流れた。若かったのだなと色々な思い出が蘇るとともに歳も取ったな、と率直に感じる。いいこともたくさんあったし、つらいこともたくさんあったなと思い出した。日々忙しい業務の中でこんな素晴らしいムービーをよく作ってくれたと感謝する。また、皆のスピーチを聞いていて、山崎さんはこんなにもみんなから慕われ、愛されていたのだと感じた。日頃、気持ちを職場の相手に伝えることなどまずない。せいぜい業務的なお礼を言う程度だろう。愛されていると実感することが最終日の送別会だけだというのが少し寂しい気もする。

私自身のサラリーマン時代と会社設立後も併せて、職場での別れがたくさんあった。客観的に見ていて思う(自分自身の事は棚にあげ)ことは概ね周りから「ふーん、あの人やめるんだ」という単なる事実認識としての感想。「あの人、やっと辞めてくれるんだ」というある意味悲しい冷ややかな評価。「あなたのおかげで私たちの今日がある」という感謝の念。自分自身がどういわれるかは自分では決めることができない。ただ、「あなたのおかげで」と言われる方がいいに決まっている。そのためには今日明日、取り組んだ程度では言われるはずもない。長い間、取り組んで時には誹謗中傷を受けながらも、それでも前を向いて歩き続け人格として高められた時に少しの人間に認められるのだろう。彼女の場合、明らかに「あなたの御蔭で」だ。少し話が脱線しすぎた。

いよいよスピーチは終盤、長い付き合いだった高槌さんの番。立ち上がった瞬間既に泣いていた。彼女たちは仲がいいとかそう言った関係性を越え、16年間一緒に戦った戦友だったのだろう。彼女たちの御蔭で今の会社がある。まともなスピーチにならず降壇。

最後は私の順番…。少ししゃべって終了。ここで私は失礼したが、その後も店を変えて送別会は根津のスナックで深夜2時まで続いたらしい。彼女がうちの会社を辞めてまでもチャレンジしようとしたことが上手く行くように願う。因みに有名な○○の父、と言われている占い師からは上手くいくと言われているらしい。長い間、本当に有難う。一仕事終えたら早く戻ってきて。