零細企業の責任者としてコロナに思うこと

過去、定期的に不況がやってきた。私自身経験しただけでも、バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災。リーマンショックは当時成長過程にあったグリーンロードを直撃した。日々、未回収の債権が積みあがっていき、飲んだくれて気持ちを紛らわせた。今回、遠い国の話と思っていたコロナが日本列島を襲った。2万5千円あった日経平均株価が1万7千円をあっという間に割り込んだ。経済の落ち込むスピードが異常に早く、対策の打ちようがない。

私が属する花業界では、卒業式がかなり縮小。イベントがほぼ中止になったため、イベント系を中心に営業展開している花屋は仕事ストップ、婚礼もキャンセル続出。送別会も中止。実際、3月に入ると例年セリでの仕入れ値が上がる時期にも関わらず、今年は閑散期の2月を下回るセリ値しかつかなかった日もあった。

花の生産者の方は丹念に土に願いを込めて日本ならではの上質な花を作っているが、そんな個人的な感情は隅に追いやられる。これだと花を作る農家が減っていくのも当然。何分生活が出来なくなるのだから。「銀行の緊急融資」などと新聞に出ているが私の経験則で銀行の審査では書類の準備等も含め2週間以上は普通かかる。中小零細企業なんて1か月分の売上のお金を支払いにグルグル回しているのが実情。支払いに四苦八苦する花屋が出てくるのは時間の問題だと思う。

 「こんな時だからこそ花を飾って少しでも明るくなろう」など聞くようになった。花を飾って明るい気持ちになれれば本当にいいと思う。

経済状況が良くない、といっても我々は日々生活をしていかなければならない。食事や家賃、その他、生活費は必要。うちの会社も設立より年数が経ち、従業員の扶養家族も増えた。成長期の子供に向かって、「不況だから飯減らせ」とは言えない。どんな時でも「腹一杯食え」というのが大人だと思う。

 社員の家族を守るため、真面目に生産者が育てた花がきちんとした値段で評価されるため、一生懸命に少しでも多くの花を売ろうと思う。我々の営業活動により3月、4月に例年なら届けられる「ありがとうございました」「おめでとう」という気持ちを少しでも多くお届けしたいと思う。