銀座のクリスマスツリー

子「クリスマスやねんからクリスマスプレゼント買ってや!」
おかん「うちはキリスト教徒やないんや。クリスマスなんか関係ないねん」
子「そしたらクリスマスケーキだけでもこうて」
おかん「関係あらへん」
子「…….。」

 

子供の頃、毎年大阪の家で繰り広げられた会話。毎年毎年おかんに押し切られた。

 

花屋になるとクリスマスは神様が与えてくれた商売チャンス。秋の叙勲の頃には大掛かり
なクリスマス装飾の打ち合わせは終わり、生産者とその年のもみの状況などを摺合せ。
もみの木はキリスト教で常緑樹は永遠の命を意味し、横から見ると△の形で「三位一体」
を表現するそう。何事にも意味があるんだと感じる。

銀座の土橋の交差点にリクルート銀座8丁目ビルがある。10年位前からその正面玄関に
8mのもみの木を設置、電飾の装飾を施工する依頼を毎年頂くようになった。
今ではそれなりに季節の風物詩となり、冬の待ち合わせ場所に指定されるらしい。


やはりリクルートさんはエコを非常に意識される企業。
そのため「もみの木は使い捨てにするのではなく、クリスマスが終了すると生産地の山に埋戻し、
一年間養生をして、次の年また銀座に持って来るようにして下さい」と指示された。

単に移植する、というものでなく植木は根っこの先の毛細根がきわめて重要で、ここを傷つけてしまうと、
再生しない。

そのため、通常鉢だしする根の大きさの1.5倍以上は大きく、土の着いたまま産地からユニック車両で運搬してくる。
重量もかなり重いものになり、もちろん人の手では持ち上がらない。

一度は埋め戻したもみの木が山火事(都心で生活する我々の感覚だとぴんとこない)で焼失。
その時に代替わりした。今年も山梨県甲府の山から掘り出し、銀座に運ばれてきた。ユ
ニック車両で釣り上げ、まずは場所の固定。この際重要なのは銀座のど真ん中なので、万が一転倒ということがないように鉄菅で固定する。それだと味気ないので木で根を隠す装飾を施す。そこから足場で櫓を組み、ここで一日目の作業終了。2日目は飾の取り付け作業。リクルートさんのコーポレートカラーをイメージしたブルーの電飾。枝に沿い取り付けて行く。
タイマー設置、試運転、この後足場を解体して点灯!

 

今や弊社内の11月最終週末のイベントとなっている。
過去、ビル風の強風にあおられ傾く、ということもあった。また、心無い人がタバコの吸い殻を根っこに掘り込み、ボヤ騒ぎもあった。美しさや綺麗さを保つ、あるいは人の気持ちを和ませるにはそれなりの労力が必要になる。時々見に行くとスマホで記念撮影をしている方々をちょくちょく見かける。自然と表情がほころぶ。

12月25日のクリスマスの0時に電飾が切れるようにタイマーがセットされている。今
年も1か月、銀座の街を彩ることになる。