店舗リニューアル工事完了

平成9年12月12日㈮、下町根津に9坪のフラワーショップグリーンロードを開店した。

「先着50名様に小さな花瓶プレゼントします」と手書きの広告を新聞の折り込みに入れて。

花を買ったことのない男性でも買いやすい敷居の低い花屋、一輪でもコップに飾って気持ちが潤うような、そんな花屋があったらいいな、という思いから無謀にもお店を作った。

当時の私は28歳。若さと無知を可能性と思い込み、勤め人生活を捨て、資本金300万円で会社を設立。花屋で勤務したことなどなく、あるのは法人向け求人広告の経験のみ。領収書の「上様」の意味さえ知らなかった。店舗内装費に200万円、手元資金がなくなる中、期待と不安でオープン前日は眠れなかったことが、本当に昨日のことのように思い出される。

今思い返すと、知らないから周りに対して随分と失礼な物言いもしたな、と反省もする。

お客さんがどれくらい来て、どれくらい買ってくれるのか、全く分らず、ひとまず体裁だけ整えて朝10時に開店。そのお店が敷居の低いお店なのか、お客さんにとって潤いを提供する場所になるのかなど途中から放り出し、無我夢中で市場で早朝から仕入れ、接客、販売。確か1週間で5kgほど痩せた。うちのお店から70m程先には昔から地元で営業していた花屋があるにも関わらず年末までひた走りに走り、どうにか平成10年を迎えることができた。

今、考えるとよく潰れなかったな、マーケティング理論など全く無視した店舗運営だった。

あれから四半世紀25年が経った。いろんな出来事がお店であり、たくさんの楽しい思い出もあるが悔し涙を流したこともあった。記念日の花束や母の日、敬老の日にクリスマスとお正月、お客さんの思いをお届けする機会がたくさんあった。その後、社業は御蔭様でどうにか少しずつだが発展し、お店は社員とアルバイトさんが日々2名体制で運営。本社まわりは根津のオフィスビルに事務所を構え、制作の制作場所、胡蝶蘭の出荷拠点、根津界隈に点在し、それぞれがそれぞれの役割を果たしている。私はほぼ、本社である事務所を中心に活動し、お店に顔を出すことも少なくなった。一方で、やはり25年も経つと看板は錆び、シャッターもガタガタ。水回りも清潔な方がいい。一度綺麗にしましょう、ということでリニューアル工事を行った。色んな思い出が詰まった場所が綺麗になり再出発する。

どうなのだろう?花なんて買ったことのなかった私がやりたかった、花なんてかったことのない男性が買いやすい、そんなお店になっているのだろうか?