不屈の人

社会人デビューして30年も経てば色んな経験もし、特に営業職出身であればたくさんの方に会う。人それぞれでいいし色んな方がいていいと思う。自分自身いくつになっても謙虚(物静かや穏やかな人、受け取られがちだが、私は声の大小ではなく学ぶ姿勢のある人間と定義している)でいたいと願っている。 

幸い私自身は両親から丈夫な体と決して出来は良くないが普通の頭をもらったことは有難いことだと思う。障害者の方々が生きていく上でハンディを背負うこともあるのは事実。例えば最低賃金だけを比較すると健常者の2/3程度になる。ここでは生産性という指標は抜きにして考えている。 

AlonAlonという特定非営利活動法人の理事長に私と同世代の那部さんという方がいる。彼の息子さんが重度の障害者だそうだ。色んな施設を見学に行った際、「自分の子供にここで働いて欲しいという環境がなかった。ならば自分自身が発起人となってそういった施設を作り運営しよう」と考えた。障碍者の方々が生き生きと働き、雇用賃金を引き上げることを目的として千葉県富津市に胡蝶蘭の生産拠点を構え、10数名の障害者を働く場所を作った。 

そこに至るまで言葉では言い表せない悔しい思いをした、と笑いながら話す。目標に向かって必死に取り組む人間を取り組まない人間が批判したり嘲笑したりする、よくある世間の構図。私の知り合いの胡蝶蘭生産の技術指導会社が技術指導に当たり、年間1万鉢の出荷を目標に正に一丸となって、「さあ、近日中に出荷だ」と喜び合っていたところ、2回連続の台風が房総半島を襲い大規模停電が発生。目の前にある出荷直前の5千鉢が停電のため温室の温度管理不能となり数時間で枯れてしまったそう…。俺ならここで力尽きるな。率直にそう感じた。しかし、彼はクラウドファインディングで資金調達し、従業員の固定費を確保した上で、自家発電機を2基買い、次の停電に備えた。そして再度苗を仕入、栽培を始めた。昔、運動会の徒競走で派手に転び、膝から血を流しながらも立ち上がってゴールを目指す様子を思い出し、この話を聞いた時、込み上げるものがあった。「那部さん、君は不屈の人だ」そう感じた。 

そんな彼から携帯に連絡をもらった。 

「Alonalonの運営なのですが、帝人さんがグループの障害者雇用のために自社農園で胡蝶蘭作ってくれているんですよ。そこで作った胡蝶蘭、高原さんところで扱ってもらえませんか?」と。もちろん喜んで。 

画像を送ってもらったが、初出荷で良くこのクオリティの胡蝶蘭仕立てたな。率直にそのように思った。皆さまの御蔭で胡蝶蘭の取り扱いは比較的多く納品させて頂いている。 

那部さんが不屈の闘志で作って形にした胡蝶蘭のお客様に届けるラストワンマイルの役割を果たしたいと思う。その胡蝶蘭が今週の金曜日に初めて弊社に届く。楽しみだ。